町立津南病院での地域研修

東京慈恵会医科大学附属病院 研修医

 私は2018/11/1~11/30の1ヶ月間、新潟県中魚沼郡津南町にある町立津南病院にて地域研修をさせていただきました。

まず、「地域」という言葉を平たく言うと「田舎」になると思います。私は、中学・高校・大学と大都会の港区の学校に埼玉の外れから毎日往復3時間以上かけて通う中で、「田舎」から来ていると言っていました。津南に来て、最初に直面したのが車の必然性でした。埼玉では車を一切運転することなく、生活できていたので、「田舎」という言葉はふさわしくなかったのではないかと思いました。

外来見学では、患者さんの年齢層の高さと人数の多さを目の当たりにし、高齢化社会と医療過疎を実感しました。また、病院の役割の違いも感じました。大学病院では、手術のために送られてくる側でしたが、外科の常勤のいない津南病院では、真逆の立場でした。そんな中、最も印象的だったのは、手術や化学療法を望まず、津南病院でフォローしている患者さんの存在でした。中核病院へのアクセスの問題などもあり、先生方も手を焼いている様子でしたが、そういった患者さんも少なくなく、津南病院の役割は非常に大きいと感じました。津南の方々の地元への愛着の強さも随所で感じられました。大学や部活など、様々な組織に所属してきて、愛着をもった人が集まっている事は、魅力的な組織の条件だと考えます。

研修の中で、院内での実習の他に、保健所研修やデイサービスや水中運動など、地域福祉に参加する機会もいただきました。保健所研修では、国家試験で活字でのみ学んだ社会医学についてなど、現場を見せていただき、具体的なイメージをつかむことができました。デイサービスではチーム戦のボール遊びに参加させていただき、高齢者の方々と多くのコミュニケーションをとる機会となりました。水中運動教室では、健骨体操に始まり、温水プールでの運動まで参加させていただきました。私は金槌なので、水につかること自体久しぶりだったのですが、水中では全身の筋肉を使いながらも、転倒による骨折などのリスクも低く、効果的な運動方法だと思いました。また、水の抵抗をコントロールすることで、負荷を調節することができ、各自が無理をしすぎないよう指導しているとのことで、いいことずくめだと思いました。病院では治療を主に行いますが、こうした運動の機会は予防のためにも行われており、寝たきり0といった標語を掲げられており、医療の一端を担っていると感じました。

オフでの話になりますが、この1ヶ月で10か所以上の温泉を利用させていただきました。薬湯として有名な松之山温泉や名水の湧く龍ヶ窪温泉、秋山郷の秘湯・萌木の里など、どれも素晴らしい温泉でした。

津南では豪雪に備えて1階がガレージになっており居住スペースが2階になっているなどの工夫があります。地元の方々も決まって雪の話をされるのですが、幸い11月中は初雪を観測したのみで、積雪はありませんでした。毎年スキーには行っているので、今年度はグリーンピア津南に足を運ぶことも検討しています。

オーダリングシステムの導入や院内薬局の廃止など、過渡期といえる状況でお忙しい中、多くの時間を割いていただき本当に感謝しております。直接御指導いただきました佐野先生をはじめ津南病院の先生方、医療スタッフの方々、地域の方々に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。