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11月期地域医療研修のご紹介
研修で地域全体を視野に入れた医療活動が体感できます
町立津南病院では、平成22年より毎年、東京慈恵会医科大学付属病院および東京医療センターの初期研修医の先生方(合計24名)を受け入れています。
1ヶ月の研修では、外来診療・入院診療・在宅医療・を予防医療(保健健康増進活動)などを行い、地域全体を視野に入れた医療活動を体感できます。
また、NST、ICT、糖尿病透析予防チーム、認知症ケアチームなど、多職種協同でのチーム医療にも参加していただいています。
感想文、研修写真を添付しましたので、どうぞご覧ください。
研修医の方にお寄せいただいた感想文をご紹介します
地域医療研修感想文(研修期間 2020.11.1~2020.11.30)
東京慈恵会医科大学 研修医 山﨑吉人
2020年11月の1か月間、津南病院で研修をさせて頂いた。越後湯沢駅に初めて降り立った日、漠然とした不安を抱えながら車に揺られ、道の左右に設置された、ランタンのような街灯を呆然と眺めていたことを今でも覚えている。
津南町は人口1万人を割る小さな町だ。かつてスキー産業で栄えた街並みは、スキーの衰退とともに影を潜め、日中、街中ではシャッターを閉める店が散見される。各地に散らばる観光地は、街を中心として放射状に広がる配置をしており、観光地同士のアクセスが悪いと言わざるを得ない。また、他の地方都市と類を違わず高齢化が進んでおり、患者さんの多くは80歳以上の高齢者だ。
ここまで書くといわゆる地方の小さな町という印象を受けるが、津南町は一味違う。まず驚いたのが、お年寄りの元気さだ。農業で汗を流し、健康的な食文化の残るこの町は県内トップの平均寿命を誇る。病院では度々90歳も後半に差し掛かる患者さんが歩いてご退院される。受けもった、95歳の患者さんが「ダメかと思ったけど、この病院に来て先輩がいるからまだ頑張れると思った。」と、正面では100歳を超える患者さんが元気にご飯を召し上がっている。なるほど、頑張れる気持ちもわかる。また、津南町には景勝地が遍在する秋山郷、自分で温泉を掘ることの出来る切明温泉、日本三大薬湯の一つである松之山温泉、など他ではない観光スポットがある。町全体が観光客を楽しませようと、創意工夫しており、3年に一度開催される「大地の芸術祭」は必見だ。個人的には切明温泉で今まで経験したことがない体験が出来たため、紹介しようと思う。切明温泉は秋山郷の最も奥にある温泉である。中津川が掘って出来た河原には天然の温泉が湧き出ており、スコップを借りて自ら温泉を掘る体験ができる。先人たちが掘った大きな風呂釜もあり、緑色に光る温泉が湧き出ている。入湯は勿論無料だ。風呂釜に入り周囲を見渡すと、大自然の中に溶け込み、猿にでもなった気分である。
津南病院での研修内容も充実していた。病棟業務をこなしながら、水中運動や健骨体操など地域の住民の皆さまと関わり、地域の健康維持活動について学ぶことが出来た。研修を行う中で感じたことは医療従事者の団結力の強さだ。規則、制度を超えて立場に囚われず、患者さんをどうにかして元の生活に戻れるように医療従事者が日々討論している。病院の廊下は医師、看護師がせわしなく行き来し、常ににぎやかだ。また、看護師さんは皆、世話焼き上手だ。患者さんが困ったことがあれば、必ず誰かが相談に乗ってくれる。都会では見られない程、医療従事者と患者さんの距離が近い。勿論social distanceを保ったうえで。
津南町で過ごした1か月間は大変有意義であった。指導をしてくださった、林院長、上級医の皆さん、色々相談させて頂いたコメディカルの皆さん、その他関係者の皆さんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
訪問診療、林院長同行の合間にて